【道徳所見】入級児童の道徳の支援と評価の方法

先生
きぬ先生
きぬ先生

所見を考えてるんだけど、特別支援学級に在籍している子はどう書いたらいいか分からないよ~

ハリー先生
ハリー先生

じゃあ、指導要領を見ながら考えてみよっか!

この記事で分かること

道徳の支援(個別での指導目標の立てる)の方法

道徳の評価(所見)の方法

特別支援学級に在籍している子どもには、発達段階や障害の特性上、以下のような実態が挙げられます。

「教科書の文の意味登場人物の心情の理解が難しい

「発問やワークシートの問いの意図が理解できず、答えることが難しい

周囲の意見の意図が分からない

きぬ先生
きぬ先生

そうそう!どうしても道徳の授業が内容的に難しくて、評価しにくい子がいるんだよ・・・

ハリー先生
ハリー先生

ズバリ!次の二つで解決できるよ!

結論

同じ内容項目で、段階を1つ下げた内容(ねらい)に変更する

②それでも難しかったら「特別支援学校 学習指導要領」を参考にする

道徳の授業での支援の方法

同じ内容項目で、段階を1つ下げた内容(ねらい)に変更する

例えば、5年生の児童が次のA1の内容の授業を受けたとします

A 主として自分自身に関すること   

1 善悪の判断,自律,自由と責任

〔第1学年及び第2学年〕よいことと悪いこととの区別をし、よいと思うことを進んで行うこと。

〔第3学年及び第4学年〕 正しいと判断したことは,自信をもって行うこと。

〔第5学年及び第6学年〕 自由を大切にし,自律的に判断し,責任のある行動をすること。

学習指導要領 道徳編より

 学習指導要領では、「5年生においては、自由の捉え違いや自立的で責任のある行動の意味が分かりくい児童がいる。したがって指導に当たっては、自由と自分勝手との違いや,自由だからこそできることやそのよさを考えたりして,自由な考えや行動のもつ意味やその大切さを実感できるようにしていく・・・」とあります。

 しかし「自由」「自己責任」「自己判断」のような、個ではなく集団社会を捉える観点や、自分の行動の結果、相手や周囲にどのような影響を与えるのかを多面的に理解することが、発達段階や障害特性によって難しい場合があります

 このような場合には、同じ項目で段階を1つ下げた内容(ねらい)に変更します。

 今回のA1の内容ならば、

「よいことをしたときの気持ち」

「悪いことを周りから勧められても断ること・止められること」

などの内容に置き換えてみます

きぬ先生
きぬ先生

他の教科と同じで、ねらいをその個に合わせるんだね!

それでも難しかったら「特別支援学校 学習指導要領」を参考にする

第1学年の内容の理解が知的な遅れによって難しい場合、特別支援学校の学習指導要領を参考にします。(第3章 特別の教科 道徳を整理しました)

特別支援学校の道徳科において、小学部は小学校の学習指導要領の目標・内容と同じだけど、以下の3つに配慮しましょう

 1 児童の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服して,強く生きようとする意欲を高め,明るい生活態度を養うとともに,健全な人生観の育成を図る必要があること。 

2 各教科,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動との関連を密にしながら,経験の拡充を図り,豊かな道徳的心情を育て,広い視野に立って道徳的判断や行動ができるように指導する必要があること。 

3 知的障害者の場合、個々の児童又は生徒の知的障害の状態,生活年齢,学習状況及び経験等に応じて,適切に指導の重点を定め,指導内容を具体化し,体験的な活動を取り入れるなどの工夫を行うこと。 

特別支援学校 学習指導要領をまとめたもの

例えばB(9)礼儀 の場合、

「支援者との毎日のあいさつを通じて、相手と関われる気持ちよさに体験的に気づく」という指導内容に設定、そのために必要な支援として

「本児の好きなジェスチャーや言葉であいさつする」などが考えられます。

きぬ先生
きぬ先生

ここまで内容やねらいの設定ができたら、評価もできそう!

道徳の評価の方法

特別支援学級における記述評価

道徳の評価について、学習指導要領の道徳編では以下のように述べています。

児童のよい点や進歩の状況を積極的に評価し,学習の意義や価値を実感できるようにすること。

他者との比較ではなく、児童一人一人のもつよい点や可能性などの多様な側面,進歩の様子などを把握し,年間や学期にわたって児童がどれだけ成長したかという視点を大切にすること。

学習指導要領 道徳編より

 個々の児童の成長について触れていることから、その個に応じた内容やねらいについての道徳教育の評価を、あゆみの所見に記述してもいいのかなと思います

例えば、

A主として自分自身に関すること:個性の慎重(4)自分の特徴に気づくこと

自分の苦手な感覚に気づいて対処することで、よりよく学校生活を送ろうとする学習では、イヤーマフやサングラスの装着を試みていた。その結果、負担感なく学習活動に参加でき、クラスメイトとの関わる楽しみを維持していた。

A主として自分自身に関すること:節度、節制(3)健康や安全に気を付け,物や金銭を大切にし,身の回りを整え,わがままをしないで,規則正しい生活をすること

「規則正しい学校生活を送る」学習では、絵カードを用いて次の活動の見通しを立てることで、場面の切り替えを調整していた。わがままをせず、一定のリズムがある学校生活は、快適な毎日を送るために大切であると感じていた。

以上のように、道徳の授業以外の時間かつ他教科・他領域の活動の中で、道徳のねらいが達成された事柄は評価できます。

ハリー先生
ハリー先生

道徳の視点から評価して、記述してみよう!

道徳の記述評価のフレーム(10分で完成!)

きぬ先生
きぬ先生

10分で・・・!?

ハリー先生
ハリー先生

次のフレームで作ると、一気に完成!

①大くくりのまとまりでみた時の評価→②特に→③顕著に認められる成長・学び

小学4年生を想定した例です。

↓↓①大くくりのまとまりでみた時の評価(先に準備しておく)

・話し合いを通して自分と友達の意見を重ね合わせ、自分の考えをもつことができていました。

・道徳の授業を通して、これからの自分がどのように成長していくべきかについて深く考えることができていました。

・友達との交流を通して学んだことを、今後の生活の中で実践していこうとする意識を高めていました。

・自分の意見を積極的に発表し、その意見に対する友達の思いを聞いていました。

・自分の経験を振り返りながら、物語の登場人物を自分のこととして考えることができていました。


②特に ③顕著に認められる成長・学び(ノートや授業での様子から)

・特に親切について考える授業では、友達が困っている時にどのような行動をとることが親切なのかを深く考えることができていました。

・特に「友達が泣いている」の授業では、実際に友達が泣いているのに気づいたら、勇気をもって声をかけることが大切だと述べていました。

・特に「おかあさんのせい求書」の授業では、普段自分が生活できているのはお家の人の支えがあることだと気づき、自分にできることは何かを考えていました。

・特に「道子の赤い自転車」の授業では、人が安心して生活を送るために、決まりやルールを守ろうとする様子が見られました。

・特に「百点を十回取れば」の授業では、正直に言うことのよさについて考え、自分の考えを深めることができました。

きぬ先生
きぬ先生

これで学期末に焦らなくていい!

おすすめ書籍

きぬ先生
きぬ先生

やっぱりまずは学習指導要領なんだね!

ハリー先生
ハリー先生

特別支援学級に在籍する子どもについて記述あり!

きぬ先生
きぬ先生

書籍は網羅的に見れるから、参考にしやすい!

ハリー先生
ハリー先生

道徳の授業を学びたいなら、オススメ!

きぬ先生
きぬ先生

図解だから見やすいし、真似したくなる!

まとめ

  1. 道徳の授業での支援の方法
    1. 同じ内容項目で、段階を1つ下げた内容(ねらい)に変更する
    2. それでも難しかったら「特別支援学校 学習指導要領」を参考にする
  2. 道徳の評価の方法
    1. 特別支援学級における記述評価
    2. 道徳の記述評価のフレーム(10分で完成!)
  3. 参考書籍
プロフィール
この記事を書いた人
ハリー先生

現役小学校教師(特別支援教育コーディネーター)
特別支援学級担任1年目のきぬ先生の悩みを解決していきます!

ハリー先生をフォローする
先生
シェアする
ハリー先生をフォローする
きぬ先生の教育アカデミア

コメント

タイトルとURLをコピーしました